1から続きます。
新沼さんと松本さんは、ここからは別の場所に派遣となりました。
新沼さんの派遣場所は、福祉避難所でした。体の不自由な高齢者が利用することと設定した場所です。ボランティアが集まるまで待機し、皆が集まってからいざ活動です。
今日のお仕事は、段ボールベッドの作成です。基本、6つの段ボールを作り、それを台としてベットにします。まずは箱を作り、中に中敷きを入れて補強し、テープを貼る。これを、避難所のスペースに合わせて作成していきます。
仕事そのものは全然簡単で、誰でも出来ることです。新沼さんは積極的に箱を手に取り作っています。
ボランティアは、同じチームの高校生達と地区の区長会の皆さんでした。流石に人が多いと緊張しますね。
作ったベッドを実際に試しています。
こうやって現場での設置訓練を終了したら、また元のボランティアセンターに戻って報告をします。事故が無かったか、現場の様子はどうだったか等を報告し、もしまだ活動が出来ると言う場合は、マッチングの所に戻って、違う派遣場所に向うこととなります。
勿論、ここで活動を止めてもいいのです。新沼さんも、長時間の活動は苦手なので、ここで終わりにしますということにしました。ボランティアは無理して参加することはありません。本人に合わせた活動を行う事が重要なのです。
では、松本さんの方はというと。
やはり段ボール造りでした。勿論、段ボール作りは大事な仕事です。出来れば避難所に避難者が入る前に設置しておきたい物でもあるのです。急いで作らなければなりません。松本さんは半身まひがあり、片手での作業ですが、周りと協力しながら作り上げていきます。
松本さんは元気もある方で、この仕事を終えて、またセンターに戻り、他の仕事も行っていきました。
障がいの有る無しに関わらず、困っている人がいたら助けたいと思うのです。とはいえ、地震で地面が荒れてしまい、普通に歩行が出来ない状態で松本さんが歩けるのか、また大勢の人が押し寄せる状況の中で、新沼さんの心の安定が図れるのかというと、とても厳しい所はあります。まずはご自身の身を守った上で、出来る事をしていくのが災害ボランティアの基本でもあります。
こういった訓練を通じて、お互いがお互いの理解を深め、出来る事を確実にして、一人一人が生き生きと暮らす事の出来る地域づくりを模索しています。