1月17日(金)石和スコレーセンター2階視聴覚室にて、前厚生労働省 社会・援護局 地域福祉課 専門官 現文京学院大学准教授の中島修先生による「地域福祉の動向と社会福祉協議会の今後の方向性」についての講演会が開催されました。
同講演会は、近年、社会福祉法人を取り巻く環境が厳しくなっていることを受け、今後の笛吹市社会福祉協議会の方向性についてご示唆をいただくべく、当社協の理事・監事・評議員・役職員を対象に、質疑応答を含め約2時間にわたって開催され、55名が参加しました。
この講演では、下記の幅広い内容につき、熱心かつ丁寧にお話いただきました。
1.災害対策基本法の改正と地域福祉政策の動向
2.孤立死防止の取組と安心生活創造事業
3.生活困窮者支援の考え方と新制度の動向
4.民生委員活動の現状と維持
5.地域福祉の先進事例 大阪の社会貢献事業
6.地域福祉計画と日常自立支援事業(権利擁護)
7.地域福祉関係予算と新たな取組(安心生活基盤構築事業)
8.まとめ(地域福祉に求められること)
特に3の生活困窮者の問題について詳しくご説明され、「生活困窮者問題は地域福祉の新たな課題であること」、「20代前半の男性が貧困リスクがもっとも高いこと」、「マスコミの影響で生活保護受給に対する偏見等があるが、必要な方にはきちんと受けてもらわねばならないこと」、「将来的には社協経営をしていく上で生活保護制度について考える必要があること」、「アウトリーチにより実態を知った上で"仕事を紹介する支援"が必要なこと」などを説かれました。中島先生によると、東京都の事例では、6ヶ月以内にホームレスになった人たちを自治体が運営する宿泊所を用意して職業訓練をしたところ、再就職率は60%に上ったということです。「みんな仕事がしたい。場があればするようになる。保護(マイナス)から納税(プラス)へ。生活困窮者支援については、今の"保護的"な発想から、"自立支援"という発想への転換が必要である。」との熱いお言葉をいただきました。また、これらを実践するために制度化が必要であることを強く説かれ、「当制度を成長させ、将来NPOに手放す役割を社協が担ってほしい」との熱いメッセージが送られました。
また、行政と社協の連携について、大阪府豊中市の事例を紹介されました。中島先生によると、「豊中市では、市が作成する地域福祉計画で、社協のコミュニティソーシャルワーカーが地域住民の"生の声"を拾うという役割を明確にした。そして、"生の声"をもとに市役所の課長たちと一緒に解決に向けて会議を持つ、という"地域住民のニーズを政策につなげる仕組み"ができている。」とのことです。まさに行政と社協のあるべき理想の姿ではないでしょうか。
中島先生は、これまでの厚生労働省での豊富な経験と大学准教授としての豊富な知識をもとに、時にユーモアを交えながら楽しくかつとても熱心にご講演され、参加した理事・監事・評議員・役職員一同、とても真剣な眼差しで講演に聞き入っていました。
なお、2月14日(金)には『これからの地域福祉実践(仮題)』について、香川県琴平町社会福祉協議会 事務局長 越智和子さんの講演を、当社協の理事・監事・評議員・役職員を対象に開催します。
今後も当社協は、『安心して暮らせる幸せあふれるまちづくり』を目指し、日々努力してまいります。
総務課 猪狩(いがり)