笛吹市自立支援協議会 相談支援部会長の鈴木です。
相談支援部会では、年に1回、障がい児者虐待についての勉強会を開催しています。現在国では障害児者サービス事業所に、障害者虐待についての委員会や研修参加を義務付けしています。現在は努力義務ですが、これからは委員会が無かったり、研修を受けていないことで、給付費が減算になる可能性があります。
また、自立支援協議会は峡東圏域の地域生活拠点事業としての研修を兼ねています。そのため、笛吹市に限らず、広い範囲での参加が可能な研修会となっています。障がい福祉の事業所は規模が小さいところもあり、こういった研修を共有で行うことにしています。今回も市内外から30名以上の参加者となりました。
12月20日水曜日、笛吹市役所にて、虐待勉強会が始まりました。
まずは圏域マネージャーの吉村氏から、虐待への基礎知識や県内や峡東地区での障害者虐待の現状を発表してもらいました。身近なところにも虐待事件は発生しています。
次に笛吹市障害福祉課の志村氏から、笛吹市の現状を発表してもらいました。笛吹市でも、様々な虐待事件は発生しています。そして、障がいの虐待は根が深く、解決になかなか至らないのも特徴です。
そして、毎回お願いしている、高橋由美弁護士から、「虐待通報」についての講義と演習を行いました。今回の学習のテーマは「通報」です。福祉従事者に限らず、全国民は虐待を発見したらしかるべきところに通報する義務があります。それには早期発見、早期対応にて、重大化、重症化を防ぐことも出来るのです。
が。残念ながら気軽に通報する、という現状ではありません。通報したら通報者が悪く言われてしまうのでは、とか、関係性が更に悪くなってしまうのでは、とか。そもそも目の前で起きていることが虐待ととらえて良いのだろうか等。虐待は表面化しにくいものでもあり、通報を躊躇してしまうことは沢山あると聞きます。
そこで、今回は通報をテーマにすることで高橋先生に依頼しました。躊躇することなく、しかるべきところに通報できるようになること、出来ない場合はどのような課題があるのかを並べ、4つの事例として提供し、グループに分かれて協議を行いました。
通報しにくい背景には、我々当事者を支援する職員はその当事者の背景や虐待者の背景に寄り沿い過ぎてしまうことがあります。虐待は悪いことではあるけれど、でもそれぞれに事情があります。
例えば親が障害の子を叩くということがあるとすると、親は一生懸命育てているが、障がいにより親が思うような育成が出来ないこともあります。そういったとき、つい手を上げてしまう親もいます。これは親が悪いのでしょうか。
虐待防止法は、暴力事件の扱いと違い、加害者を罰するための法律ではありません。虐待者も、被虐待者も福祉的支援が必要な状況にあるという観点からの法律です。だからこそ、「両方を救うための法律の力を使う」という意識のためにも、第一歩である通報が必要です。例えばそれが虐待では無かったとしても大丈夫です。関係者全員で関わることにより、より現状を変えていく、その手法として虐待を考えることが必要です。
今回も、相談支援専門員だけではなく、障がい児福祉サービス事業所や病院のワーカー、行政職員、就労支援事業所、また山梨市の基幹の方が参加しています。
多くの方の参加で、様々な視点での協議が出来ました。また、とてもリアルな質疑応答もあり、充実した2時間となりました。
また来年も実施予定ですので、よろしくお願いします。
笛吹市社会福祉協議会 事務局次長兼支援センターふえふき所長
主任相談支援専門員・鈴木勝利