ここでクイズです。
Q・車いすで使用しているタイヤですが、灰色のタイヤを使用しているのをご存じですか? 自転車と同じタイヤ形状なのに、なぜ車いすのタイヤは灰色なのでしょうか?
答えは、文末にあります。最後までお付き合いください。
笛吹社協の事業のひとつに、「福祉機器レンタル」があります。これは社協の各地域事務所が窓口になり、一時的に車いすが必要になった方々にお貸しする事業です。例えば足を骨折してしまい、杖だけだと通院が出来ないとか、足腰が弱くなったが旅行に行きたいので、その間だけ車いすを使いたい。また、家族がそろそろ車いすを必要として来ているが、我が家にそれが使えるのか試したいなど。
今の時代、大きめのホームセンターに行けば、安価で車いすが買えるようになりました。でも、日常的に使わないのにそれを保管する場所もないということもあります。
そこで、笛吹社協はこの事業を始めました。車いすを借りたいという方は、お近くの地域福祉課の事務所まで相談してください。
さて、この事業、大元は障がい福祉の事業であり、支援センターふえふきが所管となります。車いすが不要になった方々から寄付していただき、修理をした上で各地域に配置し、お貸ししています。市から委託費を戴き、運営をしています。
今回、八代地域事務所から貸し出し用車いすの不具合の相談です。タイヤがパンクし走行不能。修理が出来ないという訴えです。
車いすは、基本的に自転車と共通の手入れが必要です。ちょっと難しい話ですが、タイヤは空気をポンプで入れて使用します。タイヤはゴム製品。実は空気の分子はゴムの分子より小さいので、自然に少しずつ空気が抜けていきます。また、空気を入れる口もゴムが使われており、空気は抜けてしまう。だから、定期的に空気を入れていかなければなりません。また、ゴムも経年劣化で3年もするとひび割れが生じてきます。
空気を入れるなどは地域福祉課でやりますが、それ以上の修理は支援センターふえふきで行います。年に1度くらいのペースで、各地域を回っています。
これも「地域課題」なのです。昔はどこの地域でも自転車を修理する店はありました。また、手先の器用な「近所のおっちゃん」はどこにでもいて、何かあれば空気入れ持参で手伝ってくれたものです。でも、今や自転車ですら使い捨て時代。自転車のタイヤに空気を入れたことが無い人も増えています。地域福祉課の職員も全く同じです。
さてその八代から来た車いす。確かにタイヤの劣化があり、空気の抜けが激しいかなと感じました。丁度交換用のスペアタイヤの在庫があるので、タイヤ丸ごと交換です。
一見とても奇麗に見えますが、やはり経年劣化はありますね。車いす本体からタイヤを外してチェックし、新しいタイヤが入るかを確認します。タイヤ、チューブともセットで交換。
新旧タイヤの比較です。サイズさえ合えば、交換は可能です。空気が大きく抜ける原因が判明。空気を切れる口(バルブ)の根本が切れています。なかなか珍しい故障です。
長く使っているタイヤレバーです。これで今迄何台の車いすを直してきたのでしょう。これ、100均で購入したものです。ありがたい道具です。
両方のタイヤを交換し、注油をし、奇麗にして完成です。ここの所各種研修のため、資料作りや事前提出書類などで時間が作れず、預かる時間が長くかかりましたが、作業時間で言えば30分程度で修理完了となります。
先ほど、地域に届けました。皆さんに安全に使っていただけるために、メンテナンスは欠かせません。勿論、こういう修理や購入、メンテナンスを行う福祉機器の業者は市内にもあります。支援センターでも、特殊な故障は業者にお任せします。ただ、支援センターが所管する年間予算は1万5千円。これを上手に使いながら、皆さんの「あれば便利」を実現していくのです。
先ほど、これは「地域課題」でもあると書きました。地域福祉の観点では、車いすや自転車は大事な移動のための足であり道具です。昔は近くに自転車修理が出来る店はどこにもあり、気軽に空気を入れたりしたものです。でも、今や修理出来るところも減っています。
かくゆう自分も、娘の通学の自転車の故障で何度か甲府まで行きました。雨の夜、パンクした自転車の近くで寂し気に父を待つ娘の姿は覚えています。
地域の皆さん、「自転車くらい直しちゃる」という気のいいおっちゃん。是非ともあなたの30分を地域福祉課に提供して下さい。年に1回でも構いません。工具は事務所にもありますので、様子を見てあげてください。勿論、地域住民が自転車を前に困っていたら、是非にも助けてあげて下さいね。それが住民の幸福であり、地域福祉です。
さて、クイズの答えです。
答え:床が汚れないため でした。実は自転車の様に黒いタイヤには、耐久性や弾力性の向上、滑らないための素材として炭素(炭のような素材)を混ぜています。屋内で使うと、床にこの炭素が残ってしまい黒くなります。結果、車いすの様に室内外で使用するものは、色素を入れません。
今や、こういうタイヤもファッション性が高くなって、青や赤のゴムを使用するタイヤも増えました。しかし、支援センターの予算も限りがあります。あくまでも出来る範囲で、出来ることを提供します。
また、不要になった車いすがありましたら、支援センターふえふきまで連絡を下さい。修理可能かどうかを確認させていただいてから寄付していただき、修理して必要とされる方に貸し出しをします。